五丈原後の三国志しりたくないですか?
「それからの三国志」
この小説の魅力はなんと言っても蜀の姜維が主人公であり諸葛亮亡き後の北伐はもちろんのこと、魏呉蜀それぞれの目線から最新の研究を踏まえ五丈原の戦い後の三国志の世界が描かれていることだ。
三国志のドラマや小説の場合五丈原の戦いでの諸葛亮の死をもって締めくくることが多い。しかし諸葛亮の死は、黄巾の乱からはじまり晋により三国が統一されるまで100間あるなかの約中間あたりのことだ。その後にはまだ約四五十年もある。そんなわけで五丈原の戦い後に魅力がないわけがない。
司馬懿と曹爽の権力闘争、姜維と夏侯覇のよる度重なる北伐、魏国内部での反乱、呉の北伐、鄧艾と鍾会による蜀攻略など魅力ある物語は数多くある。
これら全てを小説としているのが「それからの三国志」だ。
上でわおもに司馬懿によるクーデターや姜維による北伐が描かれている。
下では司馬一族による魏の乗っ取りや三国の統一が描かれている。
姜維の北伐では背水に陣での大勝や司馬望との戦いでの八門陣や鄧艾との祁山での戦いなど諸葛亮と司馬懿との戦いを思い起させるような熱い場面がある。
また魏国内の話では司馬師、司馬昭兄弟と司馬家を排除しようとたくらむ魏の天子や忠臣たちの話が細かく描かれていて政争も面白い。
数ある話の中でも私が好きなのは、蜀滅亡も尚諦めることなく魏を倒すため姜維が鍾会に投降後、鍾会と鄧艾、司馬昭とを争うように仕向け蜀復興のために戦う最後の場面だ。
このようにこの小説には、五丈原の戦い後も戦い続けた漢たちの熱い物語が描かれている。こんなにもこの時代について細かく書かれている小説はあまりないだろう。
三国志好きにはぜひ読んでもらいたい小説だ。